喫茶室を併設した住宅
2003年5月
山梨県北杜市
98坪
木造軸組+W
地上2階
13坪
23坪
夫婦
Story
店の名前をアンティーブ(Antibes)というが、これは地中海に面した南フランスの地名に由来し、地理的にはニース(Nice)とカンヌ(Cannes)の間に位置する。設計依頼があってから私はまずアンティーブに飛んでみた。そこは小さな港町であり、ピカソ美術館がある。
ピカソ美術館はお城を改装したもので、ピカソが元アトリエとして実際に使っていたところだ。こんなことを知ってしまえばしまうほど、今回の設計提案としては何が相応しいのか私自身が深みに嵌まって行った記憶がある。
毎日アンティーブの街中をうろうろ歩き回り、朝市を訪ね、遠くの岬まで歩いていき、とにかくうろうろヒントを見つけようとその頃もがいていた。どうしてそれ程もがいていたのかというと、今回の計画地の空いた土地に先行してシェイクットを昨年建ててしまっていたからで、母屋はそのオーラを絶対に越えなければならないと気負っていたからだ。ピカソはどのようにして絵画のモチーフを得たのだろうか、発想の原点を得たのだろうか、地中海に面した城壁の最上段に立ってそんなことを当時考えたりした。
フェルナン・レジェの美術館にも歩いて訪れたり、有名な鷲の巣村の風景を見に出かけたりしてとにかく悩ましい日々であった。
日にちはすぐに経った。ニース空港から国際線に乗って帰る途中アイルランドに寄り、何のヒントも浮かばないままアイルランド島を車で独り横断していた。西側のはずれのキンバラという小さな港町に辿り着き、そこでとんでもない運命的な出会いをした。そのときに見たランドスケープがこの写真で、そのときに泊まったコテージのスケッチがこれだ。後は解説するまでもないだろう。


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